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下垂体後葉ホルモン

他と違う名称

通常ホルモンというのは、名前と密接な関係があります。
成長ホルモンでしたら、成長するのに必要なホルモン。

甲状腺ホルモンでしたら、甲状腺が生成するホルモン。
甲状腺刺激ホルモンでしたら、甲状腺を刺激し甲状腺ホルモンを促すホルモンといったように、名前+ホルモンは、生成される場所であったり、物質であったりと、関係性の強いものなのです。

その法則に従うと、下垂体後葉ホルモンは、脳下垂体後葉で生成されるホルモンということになるのですが、実際は違います。
下垂体後葉ホルモンは後葉で作られるわけではなく、その上部の神経細胞で生成されます。
神経細胞から軸索輸送により下垂体後葉に蓄えられて、血液中へ放出されるのです。

バゾプレッシン

下垂体後葉ホルモンは、バゾプレッシンとオキシトシンの2種類があります。
バゾプレッシンは抗利尿ホルモン、血圧上昇ホルモンとも呼ばれ、腎臓にはたらきかけて水の再吸収を促進して、水保持作用、つまり尿を濃縮する働きをしています。
また血管平滑筋を収縮させることで血圧を上げる働きも行っています。

バソプレシンが低下すると、尿を濃縮することが困難になります。
尿崩症などの症状が起きることになります。

尿崩症は水の再吸収が低下することで多尿となるのですが、それによって血漿浸透圧が上昇するため、皮膚が乾燥し、強く喉が渇き、冷たい水を多量に欲します。
糖尿病も喉の渇きや多尿になりますが、糖尿病は浸透圧利尿であり、尿崩症は尿浸透圧は逆に低下します。

また逆に異常分泌になりますと、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群になります。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群は、尿崩症と逆の症状というわけではなく、循環血液量の増加に伴って尿量が増加するため、尿量の減少は目立ちません。

ですが血漿浸透圧の低下や血清ナトリウム濃度となり、低下低ナトリウム血症になります。
これが重篤しますと、意識障害や痙攣などの神経症状がでることになります。

オキシトシン

オキシトシンは、9個のアミノ酸から構成されるペプチドホルモンです。
平滑筋を収縮させることによる乳汁射出作用があり、分娩時の子宮収縮作用も促します。
オキシトシンが分泌される仕組みはまだ完全には判明していないのですが、主に他人とふれあうことで放出されることがわかっています。

オキシトシンは対人関係が良好なときに分泌されるホルモンで、闘争心や恐怖心といったマイナスの感情を減少させます。
そのため愛情ホルモン、信頼ホルモンなどとも呼ばれています。

バゾプレッシンも同じように、愛情、信頼社会性の形成にも関わるホルモンだとされています。
2種類の下垂体後葉ホルモンは、体内での影響に関してはまったく違う効果のホルモンですが、形にできない影響では似たような効果が表れています。