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副腎皮質のホルモン

副腎皮質

副腎皮質ホルモンは、副腎皮質で生成されるホルモンの総称で、大きくは糖質コルチコイドと鉱質コルチコイドの二種類に分けることができます。
病気や怪我だけではなく、治療のための医療処置により直接的に生体を傷つけることがあると分泌されますが、ストレスなど精神的なことにも反応します。

副腎皮質は副腎の重量の約80%を占め、3つの異なる層に分類することができます。
外側から球状層、束状層、網状層の順になっており、その内側に副腎髄質があります。

この層はそれぞれ大きさが違い、大きい順に束状層、球状層、網状層となっています。
束状層は副腎皮質の8割ほどを占め、糖質コルチコイドを生成します。
球状層は15%ほどで、鉱質コルチコイドを生成し、網状層は残りの7%程度で、弱いアンドロゲンを生成します。

これらの副腎皮質から生成されるホルモンは、コレステロールから合成されています。
コレステロールはミトコンドリア内膜へステロイド産生急性調節タンパク質によって運搬され、酵素によってプレグネノロンに変換されます。
このプレグネノロンがC21でヒドロキシル化されるとデオキシコルチコステロンになり、さらに2回のヒドロキシル化されると鉱質コルチコイドたるアルドステロンになります。
プレグネノロンがC21ではなく、C17でヒドロキシル化されると、17α-ヒドロキシプレグネノロンとなり、ヒドロキシル化しデオキシコルチゾールになります。
そして再びヒドロキシル化すると糖質コルチコイドたるコルチゾールになるのです。

優れた医薬品

これらの物質の名称は一般的にはあまり知られていませんが、副腎皮質ホルモンの総称は、ステロイドホルモンといいかなり知られています。
前出したように、このホルモンは生体を傷つけることがあると分泌されます。
つまり抗炎症作用、免疫抑制作用、抗アレルギー作用があるホルモンなのです。

そのため炎症や免疫の異常により引き起こされるさまざまな疾患の医薬品としても使用されています。
ですが効果が高い反面、その副作用は強く、命にかかわることもあります。
そのため使用の際には、医師とよく相談して使用する必要があります。

ドーピングの恐怖

またステロイドは筋肉増強剤として有名で、スポーツ選手のドーピング問題として知られています。
ですが上記に示したようにステロイドはコレステロールから生成されています。
過剰な摂取は血液内で酸化コレステロールに変化して血管や心臓を壊していきます。

以前アメリカのプロレスラーが若くして亡くなっていたのもこれが原因であり、筋肉増強剤は危険なものだということが知られる原因ともなりました。
医薬品として非常に優秀なステロイドですが、その反面劇薬であるということは認識しておく必要があるのです。