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甲状腺ホルモン

甲状腺ホルモンの仕組み

甲状腺ホルモンは、くびの前方、のどぼとけのすぐ下にあり、大きさは、縦が4cmほどで、重さが18g前後ほどの後にある気管を抱きこむような蝶が羽をひろげたような形の甲状腺で作られています。
正常な状態のときは首を触っても薄く柔らかい臓器ですので気づきませんが、腫れると見た目にも違いがでてきます。
そのため首の腫れにより、甲状腺の異常に気づくことが多いのです。

甲状腺は内分泌器官のひとつでヨウ素を材料に甲状腺ホルモンを合成しています。
甲状腺ホルモンには、新陳代謝の過程を刺激したり促進したりする作用があり、胎児の発育に重要な働きをしたり、子どもの成長を促します。

甲状腺ホルモンには、サイロキシンとトリヨードサイロニンの2種類があり、それらはヨウ素の元素の数により分けられ、元素を4つ持っているものをT4、サイロキシン。
3つ持っているものがT3、トリヨードサイロニンとなります。
甲状腺では主にサイロキシンが作られており、これが肝臓でトリヨードサイロニンに変化し、ホルモンの働きを発揮することになるのです。

生きるために必要なもの

甲状腺ホルモンは人間だけではなく、脊椎動物には広く確認されています。
ホルモンの構造だけではなくさまざまな部分において酷似しているため甲状腺ホルモンは生命の維持として必要不可欠なホルモンといえます。

甲状腺ホルモンの分泌量は甲状腺が命令を下すのではなく、いくつものホルモンによって調節されています。
代表的なものは甲状腺刺激ホルモンで、これは下垂体前葉から分泌されています。

甲状腺ホルモンの作用は全身の細胞に渡って行われています。
上記に示したように脊椎動物で広く確認されていますが、特に恒温動物では、その作用により全身の細胞での基礎代謝量の維持や促進が行われます。
恒温動物以外では、サケが淡水から海水に行くときの海水適応や、おたまじゃくしからカエルに変化する両生類の変態にも甲状腺ホルモンが作用しています。

正常に分泌されないと

動物が生きるために非常に重要な役割を持つホルモンですので、分泌量が正常でないといけません。
先に示したように新陳代謝や成長に影響がありますので、少ないとそれが活発に行われなくなります。

代表的な疾患として甲状腺機能低下症があり、神経系、心臓、代謝など各器官の働きが低下してしまいます。
逆に多く分泌されるとバセドウ病となり、手足の振るえ、眼球突出、動悸、甲状腺腫脹、多汗、体重減少、高血糖、高血圧などをおこします。
甲状腺のホルモンに関する病気はそれ以外にも数多く存在しますが頻度が少ない疾患ですので、甲状腺専門医で治療することをお勧めします。